発達障害について


<発達障害という素質の真の意味>

 

 はじめに、一般的に呼びまとめられている発達障害とは、多くのそれをもつ有名人が活躍しているように、あるがままの自己を発揮できる個性化された環境の中では、独創的、個性的な活動を展開する先天的な素質や才能のことであると私は考えている。

 マイクロソフト社社長でwindowsの開発者であるビル・ゲイツも、自閉症スペクトラムという素質を持った人物であり、彼の著書で「人間関係と異なって、正しいプログラムを書きさえすれば、命令どおり完壁に動作する。この狭い世界に私は魅了されてきた。だから心の広さではなく、心の狭さは、重要なものになる。」と言っている。

 一方で、財・サービスの機械化された生産を促進するために、より低いコストでより効率よく分業して、より多くの成果を競争してえることが価値あるものと定義できる産業文化(宗像恒次)の中では、そのビル・ゲイツいう心の狭い素質をもつことがしばしば社会的に発達の遅れがあると認知されるために、その素質をもつものがあるがままを生きられず、家庭や学校や療育の場という社会化機関による強制やプレッシャーでストレス障害(情緒不安定、イライラ、爆発、暴力行為、素行障害、パーソナナリティ障害、過食嘔吐、自殺願望、うつ病、リストカットなど)を余儀なくされている。

 多様化する今の社会、科学的な知識を得て、素質の違いを「理解」することへの必要性が問われているのではないかと私は考えている。

 

筑波大学名誉教授

NPO法人 生涯発達研究所

副理事長 宗像 恒次


 発達障害者支援法において「発達障害」は「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、その他これに類する脳機能障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」(発達障害者支援法における定義 第二条より)と定義されています。
 これらのタイプのうちどれにあたるのか、障がいの種類を明確に分けて診断することは大変難しいとされています。障がいごとの特徴(とくちょう)がそれぞれ少しずつ重なり合っている場合も多いからです。また、年齢や環境により目立つ症状がちがってくるので、診断された時期により、診断名が異なることもあります。
 大事なことは、その人がどんなことができて、何が苦手なのか、どんな魅力があるのかといった「その人」に目を向けることです。そして、その人その人に合った支援があれば、だれもが自分らしく、生きていけるのです。

(参考:発達障害情報・支援センターHP)